ブンジブ

文慈部:あなたをそこから自由にする名文たち

シリーズ:偉紡文

偉人が紡ぐ名文。Vol.9 ―ソロモン王編

書籍の紹介とひと口メモ。

この書籍で見つけた台詞。

著:サミュエル スマイルズ, 原名:Smiles,Samuel, 翻訳:健, 本田
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ひと口メモ。

サミュエル・スマイルズの 「品性論」 からの文です。
この前後では特に言葉というものの重みと怖さに激しく言及しています。洋の東西を問わず似たような表現は他にもあり、有名なところでは 「沈黙は金、雄弁は銀」、また古代中国にも 「知るものは言わず、言うものは知らず (老子)」 とあります。いずれの言葉も大事にしたい。
そもそもこのスマイルズの 「品性論」 という本。あふれんばかりの珠玉の名言と偉人たちの知られざるエピソードの宝庫。プラトンにピタゴラス、ヴォルテールにモンテーニュ、おまけにジェレミー・ベンサムも・・・。私としては伝えたいことがいっぱい。人間力向上のためにずっと読み続けていたい。忘れたくないのでどうにか脳裏に焼き付けたい。そう思わされます。一読の価値ありです。
一方、彼の著作においては 「自助論」 がとても有名です。これは明治時代初頭に 「西国立志編」 との題で我が国で翻訳・出版され、当時の大ベストセラーとなりました。その数年後、今回の本書が 「西洋品行論」 として出版されたのです。現在ではむしろ、「品性論」 よりは 「向上心」 という題の方が知られつつありますが、内容は全く同じです。品性についても向上心についても触れているので、どちらの題もアリで甲乙付け難い。
そんなこんなで過去に想いを馳せれば、文明開化の時代――当時の人々は、世界の先頭を走っていた国・イギリスから知的レベルを上げようと本書で学んだのでしょうか。
そんな中、今回取り上げた文は個人的には好きな類の言葉だったのです。
処世の知恵として言葉の重みをわきまえておく。やはり品格と言葉の重みは密接に絡んでいるとの著者からのメッセージでしょう。しかもソロモン王。旧約聖書にも登場する紀元前の実在の為政者です。人を導く立場には品性や人格の向上が人一倍問われます。そんな人物の言葉を取り上げながら、品性・知性の磨き方を今も昔も私たちに教えてくれる愛を感じます。

今回の偉人の名文のおさらい。

賢者の口は心にあり、愚者の心は口にある。

ソロモン王 (Solomon)

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ブンジブ主筆、そして編集長。知的好奇心は尽きず、月30冊の読書量をもっと増やしたいと願う毎日。