組織の目的は、凡人をして非凡なことを行わせることにある。天才に頼ることはできない。天才はまれである。あてにできない。凡人から強みを引き出し、他の者の助けとすることができるか否かが、組織の良否を決定する。同時に、組織の役目は人の弱みを無意味にすることである。
「マネジメント [エッセンシャル版]」 p145
文と書籍の解説。
天才を求めないこと。才能で片付けないこと。励ましでもあるし、シビアな言葉にも映ります。
本当のことを言うと、このドラッカー氏の書籍はそもそもビジネスマンにとっては名言の宝庫なので、一つだけを取り上げるというのも相当に抵抗があります。
ドラッカー氏の書籍は膨大な量があり、私自身も今回の本に限らず、直接の著作から関連する文献まで幅広く学ばせて頂いています。その中で、今回のものは代表作とも言って良いのでしょうか。彼亡き後も世界中のビジネスマンに永く読み継がれているのです。その辺りの話は後述するとして、今回の文と本書について触れましょう。
一枚岩という表現がピッタリですね。組織の良さと強みはまさにこれです。ピーター・ドラッカー氏の著作を読むと、わりとこの類の表現が頻繁に出てきた記憶があります。彼が言わんとしていることの本質の一つなのでしょう。
本書はタイトルの通り、マネジメントをする側の立場にいる人、経営者にとっては必読書です。
元々この 「マネジメント」 は長大な文献であり、全3巻にも及ぶものとなっています。ただこの原文は難解でもあり、同じような内容が繰り返し出てくるとのことです。そして一方このエッセンシャル版とは、ドラッカー氏と懇意にしていた編者かつ翻訳者の上田惇生氏がその旨を本人に話し、許可を受けたうえで、そのエッセンスを抽出してスッキリとまとめ上げたものというわけです。したがいまして、先述の全巻を読まなくてもこれで十分という内容にしてあります。(参考文献 「P.F.ドラッカー 完全ブックガイド」)