ブンジブ

文慈部:あなたをそこから自由にする名文たち

シリーズ:偉紡文

偉人が紡ぐ名文。Vol.6 ―ヘルマン・ヘッセ編

書籍の紹介とひと口メモ。

この書籍で見つけた台詞。

ひと口メモ。

ヘルマン・ヘッセはドイツ生まれのスイスの小説家。とは言うものの文学史上の分類では、一応20世紀前半のドイツ文学を代表する文豪とされています。この辺のお話に関しては、なにぶん時代が時代なもので、こうしてややこしくなってしまうのも致し方ありません。私は今までずっとドイツの作家だと思っていました。伝記によれば、ドイツとスイスにまたがる地域一帯が活動範囲とのことです。地続きの国々では、国境というものはあくまで便宜上のもののように思えます。(参考文献 「評伝 ヘルマン・ヘッセ ――危機の巡礼者」)
彼の半生は先述のように時代背景も手伝い波乱に満ちたもの。だからなのでしょうか、作風はその反動の如く穏やかな精神世界を描くものにあふれ、独特の宗教観と言いますか、落ち着きすら感じさせます。その感性から紡ぎ出された言葉は今回のもの以外にも多々あり、そこには諭すようなものから、禅問答かと見まごうばかりに逆説的なものまで。例えばこちらのエッセイのタイトルをご覧下さい。
「人は成熟するにつれて若くなる」
如何でしょうか。
一方、今回の書籍のテーマは 「無為」。その意味するところは (語れば深いのですが)、「何もしない」 こと。自然に任せる。沈黙する。執着を手放す――。そんな東洋思想の教えに見られるような静寂を醸し出す本。個人的には生き急ぐ気持ち、焦る気持ちを溶かしてくれるのでお気に入りの本です。またそういった内容だからこそ、こうしてヘッセの言葉が上手い具合にリンクし、引用されるのもうなずけますね。
人間って捨てたもんじゃない。あえてその手で何かを施さなくても、成長を促せたり、結果を呼び込めたり。そして健康でいられたり。そういう 「引き方」 のオイシさを知ると、人生は皮肉にも楽しい。

今回の偉人の名文のおさらい。

しっかり握りしめることで人は強くいられると思う人もいる。
だが、手放すことが人を強くすることもある。

ヘルマン・ヘッセ (Hermann Karl Hesse)

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ブンジブ主筆、そして編集長。知的好奇心は尽きず、月30冊の読書量をもっと増やしたいと願う毎日。